ふりかえりの巻
昨晩、自分の恋愛年表を作ってみた。
当然ながらそれぞれの過去の恋に対する思いは様々で。
まるで昨日のことのように鮮明に思い出すものもあれば、もはや霧がかかったようにしか思い出せないものもあった。
想いの深さは年月の経過や、過ごした時間とは関係ないのだなぁとしみじみ思った。
そしてある事に気付いてしまった。
ある恋愛を境に、私は相手に対して「好き」と告げたことがほとんどないという事に。
もちろん、好きだから付き合ったのだし、なんなら私から積極的に行動したこともあった。
でも、付き合ってる期間に相手に「好き」だと言葉で伝えたことがほとんどなかった。
きっと態度では現れていたと思う。
でも言葉にはしてこなかった。
それはずいぶん昔の恋愛が発端になっていたことに気がついた。
私はもともと単純な性格で、友達からはいつも
ストレート一本勝負やなって笑われる。
もちろん、大人だからなんでもバカ正直にストレートに言えばいいなんてことは思ってない。
でも、好意的なことは思った時に思ったまま伝えたい、そう思っていた。
だから、その当時の彼にも私はあなたの事がとても好きだと折に触れ伝えていた。
べつにお返しの言葉が欲しかったわけじゃない。何かしてほしかったわけでもない。
ただ、伝えたかったのだ。
彼はいつも知ってるよーありがとうって笑っていた。
私はそのニコニコした顔が大好きだった。
でも、そのあと彼が別の女の子にもそうやってニコニコしていたことを知った。
今思うと怪しい場面はいくつもあったのに、私は彼を疑う気持ちは皆無だった。
だから、その事実を知った時、人って怖いと思ったのを覚えている。
ショックを受ける私に彼は泣きながら謝ってきた。
私は涙すら出なかった。
人はショックすぎると頭が真っ白になり全ての感情がフリーズするのだと初めて知った。
震えながらやっとのことで
なんで??
って聞いた私に彼はこう言った。
いつも好きだといってくれるから、安心しきっていたのかもしれない。
この子は何があっても自分を好きだろうとどこかで思っていたのかもしれない。
私が好きだと言ったから彼は浮気をしたの??
好きだと言ったからよそ見をしたくなったの??
こんな思いをするなら好きだなんて言わなければよかった。
今思うと彼の言うことも、少しだけわかる気もする。なんとなくね。
でも紆余曲折ありながら、その後も彼といることを選択した私はもう前のようにはいられなかった。
彼のことを信じることもできない、でも彼から離れることもできない。
もはや好きって感情ではなくて、それは執着だったと思う。
でも、彼と過ごしたその後の数年間。私は彼に対して好きだとは全く言わなくなっていた。
不思議なことで私が言わなくなると同時に彼が頻繁に口にするようになっていた。
前はあんなに聞きたかったその言葉を私はうけとれなくなってしまっていた。