ふりかえり⑧
⑦の続き
ある日、彼の友人達とBBQをした。
幼なじみ達には会ったことがあったけれど、知らない友人もいた。
このとき、彼と付き合って1年近く経っていたと思う。
幼なじみ達は、彼から話を聞いていたようで
「早く一緒に住めばいいのに。」
「うん、って言ってあげなよ。」
と口々に言ってきた。
そうだねぇっていいながら、その場を過ごしていたのを覚えてる。
その頃の私は体調の事もあって大人数でワイワイいるのが結構しんどくて、2次会の途中で彼と一緒に帰った。
テキパキと動けるわけでもなく、最後までノリよく過ごせるわけでもなく、こんな彼女で申し訳ないな、と思っていた。
彼は俺も大人数は苦手だからちょうどいいよって笑ってくれた。
彼と一緒に私の家に帰りゆっくり過ごした。
次の日が仕事の彼は夜中に自分の家に帰っていった。
私の家に携帯を忘れたまま。
彼を信用しきっていた私は、仕事帰りに届けてあげようと彼の携帯を持って仕事にでかけた。
ふりかえり⑦
何故彼の言葉に素直に頷けなかったのか。
私は、自分が負けたように感じたから。
誰かに庇護してもらわなければ生きていけないような感覚になったから。
お給料が少なくてカツカツの生活でも、私は私の力で生きているというささやかな自分を支えているものが無くなってしまうように感じたから。
そして、プレッシャーはあるけど、今まで頑張ってきた私の仕事も意味がないように感じてしまったから。
もちろん、彼はそんなつもりで言ったんじゃない。でも私はその自分の小さなプライドを傷つけられたようで、素直にうんといえなかった。
「一緒に住んだとしても生活費は私も出す」
そんな可愛げのない事を言ったと思う。
私のバカ。。
受け取れなかった。
信頼している、と言いながら。
私は誰かに委ねることができなかった。
そんな時、彼の友達たちとBBQをする事になった。
ふりかえり⑥
⑤の続き
もともと私は生理痛が重かった。
でもこの頃どんどん重くなった。
鎮痛剤も効かず、脂汗がでてくる。
朝礼の時に貧血で倒れたこともある。
そして何より性交痛が酷かった。
最中も耐えがたい痛みだけれど、終わった後も2時間くらい痛みが続いて、起き上がることも出来なかった。
そんな私を見て彼は
「こんな思いをさせてまでしなくてもいい。俺はそんな辛そうな私をみるのが辛い。無理しなくていいから。大丈夫だから。」と言ってくれた。
申し訳ない。ごめんなさい。
そう思うのと同時に、彼が私を大事に思ってくれているのがわかって、ますます彼を好きになった。
そして婦人科にいくと、子宮内膜症の疑いが強いと言われた。
命に別状は無いけれど、放っておくと不妊の原因にもなるとも説明された。
とりあえず鎮痛剤で痛みをコントロールしつつ低容量ピルを飲むことになった。
1番いいのは、妊娠出産することなんだけどね、そう言われたのが今でも忘れられない。
病院から帰って彼に伝えると
「仕事辞めたら?」って言われた。
彼はずっと私が仕事で精神的にヘトヘトになっていたのを知っていたから。
そして彼は休みが合わない事も会える時間が少ない事も本当は寂しかったと言った。
共働きの両親に育てられた彼は、家に誰かが待っていることにとても憧れがあって。
だから、結婚したら奥さんは専業主婦になって欲しいのだ、と言った。
「いきなり結婚は無理でも、とりあえず一緒に部屋を借りて住もう(※彼は実家)。生活費は俺が出すから。私は身体を優先させてしばらくのんびりして、慣れたら週に1〜2回の軽いバイトをしたらいいよ。」
そう言われた。
今ならその言葉に喜んで頷けるだろう。
でもその時の私は素直に喜べなかった。
ふりかえり⑤
彼と付き合って私は初めて男性に対して安心感を持てた。
なんでだろう、それまでにも付き合った人はいたのに、どこかでドキドキが勝っていて、自分が相手にどう思われるのか、ばかりを気にしていたような気がする。
どうしたらもっと好きになってもらえるのか。
意識がそこにばかり向いていた。
でも、彼に対しては私は信頼しきっていた。
彼は私を絶対に裏切らない。
そう思っていた。
事実彼はとてもとても優しかった。
私は常に彼に「好きだ」と伝え続けていた。
自分がして欲しい事を相手にしていたのだった。
その頃私は仕事でとてもプレッシャーを感じていて、いつも胃が痛くなりながら必死に仕事をしていた。
平日が休みの私と、日曜が休みの彼。
丸一日会える時はほとんどなくて、いつも土曜日の夜彼が私を職場まで車で迎えにきて私の家に泊まり、日曜の朝また職場まで送ってもらって彼は自分の家に帰る。
そんな日々だった。
そのうち私は身体に異常を感じ始めた。
ふりかえり④
③の続き。
聞いた私に、彼は「あー、うん。何かわかってる。」と答えた。
私「じゃあ言って。」
彼「付き合ってください。」
私「はい。」
こうやって半ば無理矢理告白をさせた。
なんだろう、こういうとこが武闘派突撃部隊と言われる所以なのだろうか。笑
一応自分のフォローをしておくと、彼はずっと告白しようと思っていたらしい。
最初の2、3ヶ月は軽い人だと思われたくなかったから信用してもらえるまで時間をかけようと思っていた(私の警戒心も強かった)
でも、時間が経つにつれてタイミングが分からなくなっていた。
という事だったらしい。
だから聞いてくれてありがとう、と言われた。
それを聞いて、私は彼を好きになってよかったなと思った。
そうやって私たちは付き合い始めた。
ふりかえり③
②の続き。
デートをして、デート終わりに次に会う日を決める。会うまでは電話でおしゃべり。
そんなことを重ねていった。
手すらも繋がない。めっちゃプラトニックな関係。
中学生かよ!と心の中で思いながらそれでも彼と会うのが楽しかった。
同じ飲み会に参加した同僚と彼の友人は付き合い始めたと聞いた。
どうやら同僚が猛アタックしたらしい。
そっちはどうなの?と聞かれ、どうなんやろうねぇとはぐらかしていた。
そんな状態が半年ほど続いたと思う。
さすがに、これは一体どうなんだろうと思い始めた。
もしかして彼は本当に友達として誘っているのだろうか。不安になってきた。。
そしてまたも待てない私(半年待ったのすごくない??)はある日のデートの帰り、車の中で彼に言った。
「聞きたいことがあるんやけど。それは一体何でしょう?」
我ながらめんどくせぇ。笑
ふりかえり②
この人いいな、私はそう思った。
でも、どうしたらいいのかわからない。
たぶん恋愛に臆病になっていたからだと思う。
すると彼の方から
「連絡先教えてくれる?」と言った。
私たちはこっそりと車の中で連絡先を交換した。久しぶりに私はドキドキしていた。
そこから待っても待っても連絡は来なかった。
1週間ほど経って、私は自分から彼にメールをした。この頃からすでに私は待てない女だった。笑
彼は連絡をしたかったけど、なんて連絡しようかと思いながら今まで経ってしまった。
連絡くれて嬉しい、と言った。
ほんまかいな、って思いながらも嬉しかった。
そこから連絡のやり取りをするようになって、初めて2人きりで会うことになった。
張り切ってデート服を買いに行った。
普段着ないようなパステルカラーのトップスにスカート。そしてかごバック。
我ながら単純で面白い。そして今ふりかえると可愛らしい。
それにしても、随分昔の事なのにやっぱり覚えているものですな。。
そうして彼とデートを重ねていった。
今思うと、こんな風に一歩ずつ距離を縮めていったのは初めてだったように思う。