ふりかえり⑩

⑨の続き

 

その後は職場に戻ってどうしたのか覚えてない。でも何度もこみ上げてくる吐き気でずっとトイレに駆け込んでいた。

とても仕事ができる状態じゃなくて早退させてもらった。

 

家までの帰り道、怖くて怖くてしょうがなかった。

何が怖かったんだろう。

たぶん私が今までずっとそこにあると思っていたものが底から抜けたような感覚だった。

立っていられない。

 

家に帰って冷静に冷静にって言い聞かせて、彼の携帯を再び見た。

彼女からの画像はご丁寧に保存されていた。

色んなパターンで。

 

汚い。汚い。汚い。

そう思った。

信じられなかった。

そして私は自分が女性としてダメなんだって決定的な烙印を押された気がした。

 

 

そして更にショックな事を知った。

一緒にBBQをした、彼の幼なじみ達は皆このことを知っていた。

彼が私以外の女の子と会っていること。

そしてそれを私は知らないこと。

友人たちは、彼にたいして

「いい加減にしないとバレるぞ」と忠告していた。

彼は「わかってる、もうやめる」と答えていた。

 

 

友人たちはどんなことを思いながら私に彼との話を聞いていたんだろう。

この子、何も知らずにかわいそうにって思われていたのかな。

それともアホやなぁって笑われていたのかな。

 

どっちにしても誰も信じられないって思った。