ふりかえり⑨

職場のお昼休憩、私は1人で社員食堂にいた。

カバンの中で携帯が鳴っている。

見ると私のではない。

彼の携帯だった。

 

まだガラケーだった当時、ディスプレイには知らない女の子の名前がでていた。

最初は誰だろうって思っただけ。

でも何度も何度も電話がブーブー鳴る。

新着メールありの文字をみて、私はつい好奇心で彼の携帯を開いた。

私に見られることなんて想定もしていない彼はロックすらかけていなかった。

 

そこには、私の知らなかった彼がいた。

BBQの前日、その女の子と会っていたこと。

彼女から送られる「好き」だという言葉。

そして、彼女から送られていたのは、彼女の裸の写真だった。

 

あの時の感覚は今でも覚えてる。

携帯を持つ手が震えたこと。

全身に寒気が走ったこと。

猛烈な吐き気がおそってきたこと。

 

その場にいることができずにトイレに駆け込んだ。