ふりかえってのまとめ
ずいぶん年月がたって、今思い返すと、やっぱり私は彼が好きだったなぁと思う。
いっぱい嫌な思いをしたし、悲しかったし辛かったけど、彼の事が大好きだったなぁと思う。
あの頃の私(発覚前)は素直に駆け引きとか損得とかなく自分の気持ちを相手に伝えていた。
でも今思うと、彼というより親に甘えてるような感覚だったのかもしれないなぁ。
本当に知りたくなかった。
彼を好きなままで別れたかった。
発覚前の自分のままで別れたかった。
発覚後の大嫌いな私と仲直りができないまま、私はその自分を封印して、あれはあれでいい恋だったんだと思おうとしていた。
ふりかえりをずっと書いてみて、私はきっとあのショックで傷ついた自分を2度と感じないように、罪悪感やら色んなもので蓋をして。
感謝っていう体裁のいい言葉で「処理済」のラベルを貼ったのだと思った。
彼への感謝は嘘ではない。
でも、それと自分を許すことは別。
私はそこを無理やりごちゃまぜにしていたんだと思う。
自分の痛みと向き合って寄り添うことと、出会ったことや出来事に感謝することを混ぜてしまうととてもしんどくなる。
混ぜてしまうというよりも、無理やり感謝をして傷ついた心をOKってするのは応急処置のようなものだ。
まず傷ついた自分は自分として認めたうえで、十分に寄り添ってから、相手への感謝をすればいい。
感謝できなくても、それはそれでいい。
感謝できればそれはとてもステキだけど。
ふりかえりを読んでくれた友達が素敵な恋や素敵な愛だといってくれた。
それがとても嬉しかった。
確かに私は彼の事が大好きだったし、彼も私を愛してくれていたのだ。
あの時の私とどうやったら仲直りできるだろう。
友人たちがたくさんの優しい言葉をかけてくれた。
嬉しくて涙がでた。
たぶん、あの頃の私が泣いてるんだと思う。
私もみんながしてくれたように、あの頃の自分によりそって優しくしてあげられるかな。
ふりかえり14
彼とは、向こうが別れを嫌がるのを押し切って一度別れた。
でも私は自分に自信がなさ過ぎて、また彼と戻ることになった(相手の女の子とは関係を切っていた)
結局一緒には住まなかったけど、私は転職をして前よりは彼と休みが合うようにした。
彼は日曜の夜も職場まで迎えにきて、また夜中帰るようになった。
彼の中で出来る限り私を最優先してくれるようになった。
でも、彼への信頼がゼロになってしまった私は彼を異常に束縛し、試し行動のように別れを口にしては脅すようになってしまった。
あの時の私は今も思い出したくないくらい大嫌いだ。
戻ってからの私たちは完全に力関係が逆転していた。彼は相変わらずおだやかで優しく、私に逆ギレすることは一度もなかった。
どんなにひどい束縛をしても、そうさせてしまったのは自分だからと言って全て受け入れてくれていた。
だからこそ、私は彼を許せない私が許せなかった。
それならどうして、って気持ちが消えなかった。
仕事を変わったことで体調もずいぶん良くなって、不思議なことに性交痛もほぼ無くなっていた。
でも、私にとって性行為は彼をつなぎとめるものだった。
しなきゃ、またどこかに行ってしまう。
喜びからのものじゃなかった。
そしてそれは彼と別れてからも、私のなかで根付くようになってしまった。
付き合ってる最中にだいぶ生理が遅れたことがあった。生理周期もズレたりしてたし、まさかなぁと思ったけど、普段よりもあまりにもズレることに不安になった。
彼は子供を欲しがっていたから、もしかしたら?って事に1人で先走って私の親に挨拶に行く予定を段取りつけようとしていた。
結局妊娠はしていなかった。
私はホッとしていた。
だって、こんな状況で子供ができてそれをきっかけに結婚しても。この不安は消えないとわかっていたから。
でも、形が欲しくてそうなればいいのに、とも思っていた。
彼の事も自分の事も許せないまま、結局5年付き合ったあと自分から別れた。
結婚の話も出ていたけれど、彼をどうしても信じることができなかった。
私はもう誰かのことを前みたいに無防備に信じる事が出来ない。
そんな自分がとても嫌だった。
たぶん私はまだその時の自分と仲直りができていない。
ふりかえり13
彼の話を一通り聴いて、襲ってきたのは彼への怒りよりも自分への責める声だった。
私がこんな身体じゃなければ。
私がもっとちゃんと彼に対応することができていれば。
彼は気にしなくていい、って言ってくれていたけど本当は嫌だったんだ。
だから他の子にそれを求めたんだ。
私はそれを与えられない。
私は女としてダメなんだ。
知りたくなかった、と思った。
知らなかったら幸せなのに。
知らないままで、彼を信頼していたままで、違う理由をつけて振って欲しかった。
こんな状態で一緒にいて欲しいって言われても、私はどうしたらいいんだろう。
もう私は女として終わってる。
私を好きになって愛してくれる人なんかいない。
こんな酷い言葉を私はずっと自分自身にかけ続けて来た気がする。
ふりかえり12
彼が私の家に着いたのは2時間後くらいだったと思う。
当時、彼と私の家は車で約1時間くらいだった。
待ってる間中、少し冷静になってまた怖くなる、の繰り返しだった。
彼は家に着くなり土下座をした。
ひたすらに謝っていた。
とりあえず洗いざらい話して、と言うと彼は事細かく話し始めた。
⚫︎相手の子とはもともと知り合いだったこと
⚫︎私と付き合ってから偶然再会したこと
⚫︎懐かしくて飲みにいったら、そういう関係になったこと
⚫︎その子から付き合ってと言われたが、付き合ってはいない、でも彼女はいないと相手には言っていること
⚫︎私にバレないうちに彼女を切ろうと思っていたが言えずにズルズルきてしまったこと
言えずにズルズル、、想像できる。
彼はいつもそうだったなぁと思った。
最初に連絡をした時も、付き合おうってなったときも。
私が促してやっと決断する、そんな人だった。
私はそんなちょっと頼りないけど優しい彼が大好きだった。
でも彼は誰にでもそうだったんだ。
何を言ったかよく覚えてない。
言葉がうまくでてこなかった。
絞り出したのは
なんで?
って一言だけ。
彼は泣きながら
私は自分から離れていかないって安心感があった。だからそれにかまけてフラフラと行ってしまった。
お願いだから離れていかないで欲しい。
この場で相手の子に連絡をして二度と会わないと言う。
って言った。
なんでこの人泣いてるんやろう。
なんで私は涙が出てこないんやろう。
私が好き好きって言ったから、彼は他の子に行ったのか。
言わなきゃよかったなぁ。
人はショックすぎると思考ががフリーズするんだな、と初めて知った。
ふりかえり11
夜になってフラフラの頭で彼の実家に電話をした。付き合って初めてだった。
電話に出たのは彼のお母さんで、私は仕事用の口調で彼の在宅を聞いたがまだ帰っていないと言われた。名前と電話が欲しい旨だけを伝えて電話を切った。
するとすぐに彼から折り返し電話がかかってきた。彼のお母さんは私の口調がビジネスすぎて怪しさを感じたらしい。まぁ確かにいきなりそんな電話が掛かってきたらそうかもしれない。
彼は「どうしたの?今から携帯取りに行こうと思ってたやけど?」といつものようにのんびりとした口調で尋ねてきた。
私はそれまでずっと怖くて怖くてしょうがなかった。彼に携帯を見た事を責められるんじゃないか、とか。逆ギレされたらどうしよう、とか。
でもその呑気な声を聞いた瞬間、怒りが猛烈にこみ上げた。
「先に謝っておく。勝手に携帯を見た。ごめん。で、言いたいことわかるよね。」
私は本当に怒ったとき、声は低く冷たくなるらしい。泣き叫びたいのに、驚くほど冷静な自分がいた。
彼は一瞬絶句して、そのあと
ごめん、と言った。
そしてちゃんと話がしたいから会いにいっていいか?と尋ねてきた。
私は、話すことはないけど、携帯を取りにいますぐ来いと言った。
ふりかえり⑩
⑨の続き
その後は職場に戻ってどうしたのか覚えてない。でも何度もこみ上げてくる吐き気でずっとトイレに駆け込んでいた。
とても仕事ができる状態じゃなくて早退させてもらった。
家までの帰り道、怖くて怖くてしょうがなかった。
何が怖かったんだろう。
たぶん私が今までずっとそこにあると思っていたものが底から抜けたような感覚だった。
立っていられない。
家に帰って冷静に冷静にって言い聞かせて、彼の携帯を再び見た。
彼女からの画像はご丁寧に保存されていた。
色んなパターンで。
汚い。汚い。汚い。
そう思った。
信じられなかった。
そして私は自分が女性としてダメなんだって決定的な烙印を押された気がした。
そして更にショックな事を知った。
一緒にBBQをした、彼の幼なじみ達は皆このことを知っていた。
彼が私以外の女の子と会っていること。
そしてそれを私は知らないこと。
友人たちは、彼にたいして
「いい加減にしないとバレるぞ」と忠告していた。
彼は「わかってる、もうやめる」と答えていた。
友人たちはどんなことを思いながら私に彼との話を聞いていたんだろう。
この子、何も知らずにかわいそうにって思われていたのかな。
それともアホやなぁって笑われていたのかな。
どっちにしても誰も信じられないって思った。
ふりかえり⑨
職場のお昼休憩、私は1人で社員食堂にいた。
カバンの中で携帯が鳴っている。
見ると私のではない。
彼の携帯だった。
まだガラケーだった当時、ディスプレイには知らない女の子の名前がでていた。
最初は誰だろうって思っただけ。
でも何度も何度も電話がブーブー鳴る。
新着メールありの文字をみて、私はつい好奇心で彼の携帯を開いた。
私に見られることなんて想定もしていない彼はロックすらかけていなかった。
そこには、私の知らなかった彼がいた。
BBQの前日、その女の子と会っていたこと。
彼女から送られる「好き」だという言葉。
そして、彼女から送られていたのは、彼女の裸の写真だった。
あの時の感覚は今でも覚えてる。
携帯を持つ手が震えたこと。
全身に寒気が走ったこと。
猛烈な吐き気がおそってきたこと。
その場にいることができずにトイレに駆け込んだ。